24. 十石峠と八丁峠 前編
2013年5月
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関東最強の酷道とも評されるR299十石峠。遂にこの足で越えるときがやってきた、が、峠道の全てを走り通すことができるかどうかは、行ってみないとわからない。無事に通過できたら秩父方面に向かう予定だが、どこを通るかは時間次第。ゴールも決めず、体力と時間のいずれかが尽きるまで。めずらしくアバウトな計画だったが、見どころ満載ではっきり言って面白かった今回の遠征を、上高地以来の前中後3編でお送りしよう。


今日のスタートは佐久平駅。本当は第20回で通過した軽井沢からスタートすると遠征の流れからはすっきりするんだけど、ここまでの移動で時間を消費するともったいない。今日は少なくとも秩父までは制限時間内に走りきらないと家に帰れない。
そこで、今朝は気合の5時半起きで始発の新幹線に乗ってやってきた。自転車遠征のためにここまで早起きしたのは金精峠に挑んだ第18回以来だ。

少し肌寒いが快晴。準備を終えて7:50に走り出した。

まずはR141を南下する。青看にはこれまでの遠征で見たことのない地名が並ぶ。右手前方には雪の残る八ヶ岳連峰が見える。長野県をまともに走るのは初めてで、心が躍る。

浅蓼大橋の手前を左折。左手に浅間山が見えた。それにしても佐久盆地は広い。さすが佐久平というだけある。
これから向かう十石峠は、その昔、信州から上州に毎日十石の米を運んだことからついた名前だそうだ。この平地を見ると納得だ。

中込の交差点から、R141と平行に走るr2を南下する。こちらの方が交通量が少なく走りやすい。R299との交点を目指してひた走る。

途中から細くなったr2を進んでゆくと、R299との交点に到達した。左折して十石峠に向かう。現時刻は8:45。

r2とR299の交点から十石峠までは18 kmある。前方に見える山に向かって徐々に上ってゆく。

大日向の集落のあたりは旧道が残っている。センターラインのない1~1.5車線の道が数km続く。

再び現道に合流してひた走り、9:30に古谷ダムに到着。こういうダムは山間部を走る国道にはもれなくついてくる。

古谷ダムの先、乙女の滝を過ぎるとR299が本領発揮する。十石峠道の始まりだ。あっという間に狭くなり、舗装はぼろぼろに。峠まではまだ5 km程度ある。否応なくテンションが上がる。

さらに狭くなり完全一車線になった。ここが長野側の最狭区間だったように思う。

道幅が回復したかと思うと10%勾配が現れた。路面をジグザグに切りながら上ってゆく。

おそらく元々二車線あったんだろうけど、土砂崩れで半分近く埋まっている。ここまで警告もなかったし、すぐには直す気もないように見える。やはり国道の峠道とは思えない。

そうこうしているうちに最終コーナーに到達。R299のおにぎりが出迎えてくれた。

最終コーナーを曲がると展望台が見えた。10:20に十石峠に到着。体力的には問題なく到達できた。
標高は1351 mあり、麓から約700 m上ってきたことになる。スタート地点からは2.5 hで33 km走ってきた。いいペースで走れている。

峠の群馬県側から長野県側を望む。峠らしい写真が撮れた。
十石峠は展望台あり、様々な標識あり、トイレありとわりかしにぎやかである。10分ほど休憩したのち、少しの緊張と不安を抱えながら走り出した。

十石峠の群馬側はすぐには下りにならない。小さなアップダウンを繰り返しながら進んでいく。想定外だったので結構しんどい。
しかし長野側と違って見通しが効く。左下を気にしながらペダルを漕ぐ。

かなり大きなトラックが上ってきて驚いた。後で調べるとどう見ても10tトラックなんだけど大丈夫だったのか。6枚上の写真の長野側最狭区間を通り抜けられなそうなんだけど、トラックの運転手は上手なのだろう。

そうこうしているうちに、このヘアピンカーブに着いてしまった。
看板を読むと4月10日から通行止になったようにも読み取れるが、この日は冬季通行止解除の日である。実は十石峠の群馬県側は2011年以来通行止が続く開かずの国道だ。もしかしたら開通しているのではないかという一縷の望みをかけてきたがやっぱり通行止は解除されていなかった。

しかし、ちゃんと迂回路が設定されている。

ヘアピンを曲がらず直進すると矢弓沢林道に入るが、こちらが迂回路である。この林道は古道の十石街道に対応する道であり、確かに線形からはこちらの方が本線に思える。ただし国道に指定されたことはないため、国道旧道ではない。街道から連想される通りかなりの急勾配だが、国道よりも幅広で走りやすいらしい。

実は上記の情報は事前に全て把握していた。では、何のために十石峠に来たのか。酷道を走るためだ。通行止突破の報告はネット上では見つけられなかった。致命的な場面に遭遇したらどうするのか。あきらめて上り返し、林道を下る。その時間を確保するためにわざわざ始発電車に乗ってきたんだ。
何も知らずにここに来たら迷ったかもしれないが、今日はまだ10時半過ぎだ。躊躇なく下って行った。

群馬県側の下りのうち、最も長野県寄りの地点にある切通し。ここまでは路面が荒れているということ以外は特に問題はなかった。問題はここから先だ。
意を決して進んでいくと法面の工事が行われている箇所に遭遇。黙認してもらいスルー。感謝しつつ、一息ついた。

そのすぐ先にあったのがこの崩落地点だ。気を抜いていたので驚いた。かなり大規模に崩れているが、この状況まで復旧されていたおかげで問題なく通過することができた。
しかし、この先雨が降るといくらでも崩れそうである。おそらくコンクリでがちがちに固めることになるんじゃないか。迂回路があるので突貫工事はしないだろうし、今年中の通行止解除は難しいように思う。

崩壊地点から先に進んでゆく。こうして走ってみると酷道とはいえやっぱり国道だ。例えば同じ林道由来でも、裏ヤビツより整備されているように思う。

林の中の一車線区間を延々と下り、何とか冬季通行止めゲートの外に脱出。ここまできてようやく安堵した。

程なくして青看のある交差点に到着。R299は直進である。左折方向はr45であり、塩ノ沢峠に向かう道だ。

交差点の先から振り返って撮影。十石峠道を象徴する風景であり、多くの人によって同じ構図の写真がネットに上げられている。同じ景色を、この目で見ることができた。

地図のリンクは https://ridewithgps.com/routes/41315374

何とか無事に、時間のロスなく十石峠を越えることができた。
現時刻は丁度11時だ。ここまで約3 hで48 km走ってきた。このペースで先に進んでいこう。
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