15. ヤビツ峠
2012年6月
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間違いなく関東の自転車乗りにとって聖地の一つであるヤビツ峠。第9回の道志みちと同じくネットには走行記録があふれているが、なるべく情報を仕入れず、秦野と清川を結ぶ山道であるという予備知識だけで挑んだ。期待していた以上に面白い道だったが、四輪車には全くお勧めできない。


前回冒頭に今年は関東を北へ北へ辿ると宣言したが、いきなりの脱線だ。秩父の次に予定しているコースがかなり長距離なので一日フルに使えないと行けないのだ。今日は5時間の時間制限だ。

さてここから本題だが、今回は第1回に通った二宮をスタートして、ヤビツ峠を越えて宮ケ瀬ダムに至り、さらに橋本まで走る予定。しかし東京駅でいきなりミスった。快速アクティに乗ったのだが、どうやらこの快速は二宮には停まらないようだ。仕方がないので写真の国府津駅から走り出した。出発は10:35。

まずはR1を東へ。国府津から15分くらいで当初スタートポイントに予定していた二宮駅に到着。ここからが本番だ。r71との交差点を左折して北へ向かう。

途中r71はバイパス化されているので旧道を通る。車が少なく走りやすい。写真は二宮ー中井町境に架かる堺橋。地味に大正橋梁だ。道沿いにあった説明板によると、この県道は馬車軌道に由来していてかなり古い歴史をもつようだ。現時刻は11:00。かなりいいペースだ。

さらにr71を進んで秦野に到着。ここで少し寄り道して秦野と伊勢原の市境にある善波峠に向かう。が、道をロストしてかなり時間を浪費してしまった。住宅地の中をさまよう。何とか11:45に善波隧道に辿り着いた。
S3竣工の古隧道だ。コンクリートブロック積みのように見える。現道の凄まじい交通量からは想像できないが、S38までR246として使用されたようだ。

善波隧道の手前から秦野方面を望む。

R246を少し走り、名古木の交差点を右折してr70へ。ようやくヤビツ峠への上りが始まる。現時刻は12:00。本当はヤビツ峠に13:00には着いておきたかったが多分間に合わないだろう。計画に無理があったかと少し後悔した。
ちなみに、交差点の青看の右折方向はヤビツ峠とだけ書かれている。この道で宮ケ瀬を目指すのはお奨めでないようだ。

右折した直後に写真のような大きな電光掲示板がある。見づらいが宮ケ瀬30 km、ヤビツ峠12 kmと表示されていた。

r70を上ってゆく。かなりきつい上り坂で、もしかしたら旧道があるのかもしれない。万一この上り坂を12 kmだったら途中でタイムアップは間違いない。正直気がめいった。
写真の正面に見える山並みをこれから上ってゆく。峠ははるかに高い。

山裾にとりついてからはかなり傾斜が緩くなり、少し安心した。自分にしてはかなり長い距離を休まずに上ってゆく。とにかく12 km走ればゴールと自分に言いきかせ進む。

ヤビツ峠の秦野側は写真のようにセンターラインがない箇所も多いが、整備されていて走りやすい。途中に大きな展望台もあり、秦野市がよく手を入れているのだろう。

だいぶ上ってきた。秦野の市街地を見下ろせる。

山塊に突き刺さるような直角のカーブ。峠は近いようだ。

13:20にヤビツ峠に到着。標高761 m。80分かけて660 mの標高差を上ってきた。時間はないのだが少しだけ休憩。
ヤビツ峠はタイムトライアルの激戦地だ。速い人はこの半分未満のタイムで上るらしい。自分は気合と根性はあるつもりだが、筋力も持久力もないのでタイムトライアルには向いていない。そういえばここまでの上りで何台もの自転車に追い抜かれたが、こんなに速い自転車が多い峠道は記憶にないな。

峠から一気に下る。こちらも秦野側と同様に走りやすいが、清川村との境界をまたぐと雰囲気は一変した。道幅は一段と狭くなり、完全一車線の部分が見受けられるようになる。路面は植物に浸食され、舗装も荒れがちに。がぜん楽しくなってきた。

高さ制限3.3 mの小さな隧道を通り抜けた。S10竣工の塩水隧道だ。コンクリートは後年の補修で、開削当時は素掘だったのだろう。この隧道を迂回する旧道はないように見える。
帰ってきて調べると、どうやらこのr70はS10に丹沢林道として開削され、その後県道に指定されたようだ。そういえば山道になってからずっと傾斜は緩めだが、この古さであればそれも納得だ。

呑気に写真を撮っているように見えるが危険だ。結構四輪の交通量が多く、気を抜いていると轢かれかねない。自分は絶対に四輪で入りたくない道だ。

13:55に折り返し点の塩水橋に到着。約30分で峠から12 km走ってきた。
この橋を過ぎると道路状況はだいぶ改善されたように思う。


景色が一変してダム湖の宮ケ瀬湖に到着。現時刻は14:05である。寄り道したいところが色々とあるのだが、時間がないので全部パス。それに、宮ケ瀬湖の周りの道路は、比較的新しいダムだからか走っていてあまり楽しくない。

宮ケ瀬湖に架かる橋から水面を見下ろす。ガードレールのある道路が水面下に沈んでいる。

宮ケ瀬のビジターセンターの前を駆け抜ける。正直言ってダムに沈んだ地域は町の様子が不自然で落ち着かない。小河内奈川渡城山ダムではこのようには感じなかったので宮ケ瀬ダムにはもう少し時間が必要か。14:30に鳥屋集落を通過。普通の町並みに戻り安心した。
鳥屋からはr513。橋本まで15 kmを残し、残された時間は1 h。間に合うか。上りが混じるときつい。ヤビツ峠までと宮ケ瀬湖周りで脚は使い果たした。

T字路でR412に合流。交通量が一気に増えた。R412を少し進んで串川橋からr510へ。小刻みなアップダウンが続いて結構疲れる。もしやこの道は外れかと思ったら、視界が開けた。

新旧小倉橋。どちらも立派なアーチ橋だ。地図上ではすごい線形だと思っていたら、こんなことになっていたのか。飽きるまで見ていたいが、それはかなわない。また来よう。旧小倉橋はS13、新小倉橋はH12竣工。驚くべきはH12まで旧小倉橋が使用されていた点だ。
旧小倉橋を渡ったが、橋からの上りが厳しく目標の電車で帰るのをあきらめかけた。が、あきらめたらそこで試合終了ですよ。

久保沢の交差点で第9回に走ったR413に合流。根性で走りノーミスで橋本駅前に到着。到着時刻は15:27だった。何とか間に合った。一瞬で自転車を片付け15:35の急行に乗りこんだ。
あまりに焦っていたので駅前の写真を撮り忘れた、が、電車に乗ったところで思い出してプラットホームの写真を一枚撮った。

地図のリンクは https://ridewithgps.com/routes/41303705

今回の総走行距離は69.2 km。獲得標高は1228 mで第13回の箱根とほとんど同じ。5時間の時間制限にしてはよく走ったと思う。次回こそ北に向かいたいがどうだろう。もう一回くらい短いコースを挟むかもしれない。
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