16. 日光と足尾 前編
2012年8月
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古い車道を好んで走る者にとって明治や大正という時代は正に華であり、これらの時代を背負った場所には須らく素晴らしい道路が残されている。日光と足尾は今や対照的になってしまったが、共に一時代を背負った存在であることは間違いないだろう。そしてその境界に存在するのが細尾峠だ。今回は、その長い長い峠道を走りに行こう。


楽しみにしていた北関東シリーズが遂に始まった。今日は宇都宮駅を9:10にスタート。まずはR119で日光に向かう。さらに細尾峠を越えて渡良瀬川沿いを走り、第14回の到達点である本庄を目指す。かなり長い距離を走ることになりそうだ。

R119日光街道を北へ。宇都宮の市街地を抜けると杉ではないが並木道になった。かなり暑いので日陰を走れるのは助かる。

日光市に入ると本格的に杉並木が始まった。写真は山口と大沢の間のR119旧道である。交通量が少なくとても良い雰囲気。おにぎりも残っている。

杉並木街道は道路の規格が様々で、R119現道の部分があれば、南行一方通行や公園化されて歩道となっている部分もあるため、一度に走り通すことは難しい。路面も舗装路に加え写真のような砂利道や石畳もあって様々だ。

11:00に今市の市街地を通過。日光の中心部に向かってひた走る。
スタートからずっと緩やかに上っているが、気になるほどではない。結構自転車が多かった印象。

11:35に日光駅に到着。かなり趣の異なるJRと東武の駅が並んでいる。駅近くのガストで早めの昼食休憩をとった。ここまで約二時間半で40km弱走ってきた。いつもと同様のペースである。

R119の終点の神橋交差点に到着。左折してR120とR122の重複区間を進む。

清滝交差点からは旧道を進む。途中に古河の大きな事業所がある。古河といえば日光、日光といえば古河の印象は強い。そして百年以上前、ここまで足尾の銅を運ぶ役割を担っていたのがこれから進む道だ。

現道に合流し、同時にいろは坂へと向かうR120と分かれる。いろは坂には近いうちに挑むことになるだろう。現道を少しだけ進むと、細尾町の交差点で再び旧道と分かれる。写真はその交差点から旧道を望む。正面に見える窪みが今日のメインディッシュの細尾峠だ。現時刻は12:40。

R122現道をまたぐ細尾峠旧道。現道はあっさりとトンネルに吸い込まれる。現道と別れ、細尾峠の旧道を本格的に上ってゆく。

細尾峠のつづら折れ。どのような峠道にも数か所はこのようなヘアピンカーブはあるだろうが、細尾峠はほとんど全てこのようなつづらで構成されている点で際立っている。その分勾配は緩く、山の斜面をじっくりと上ってゆく。

これから進むべき道路が4段見える。ちなみに、この峠道は非常に古い歴史をもち、明治時代に馬車が行き交った道路である。自動車道への改修もS11と古い。この線形の厳しさ、勾配の緩さはいかにもという感じだ。

見えづらいが、黄色の標識は34番目のカーブであることを示している。恐ろしいことにこの標識はヘアピンと呼べるようなカーブにしか立っていない。右の木柱は麓から7 km上ってきたことを示している。峠まではあと1 km。勾配が緩いので順調に上っていける。自転車にはぜひお薦めしたい道だ。

現時刻は13:40、峠道に入ってから約1時間で細尾峠に辿り着いた。標高は1193 m。宇都宮から1000 m以上上ってきたことになる。
細尾峠は写真のようになかなか良い雰囲気の切通し。地面に座り込んで少しだけ休憩した。

峠を足尾側に少しだけ下ったところにある錆びついたR122のおにぎり。何とか立っているうちに間に合った。この険しい峠道が国道であったことを示す貴重な証人である。

すれ違った自転車乗りに警告されていたのだが、想定外の崖崩れに遭遇した。かなり新しい崩壊だと思われる。路肩を慎重に通過した。

そのすぐ先にある真新しい舗装路面。ここの復旧の情報は事前につかむことができていた。右側の路肩の下は奈落だ。

足尾側の凄まじいつづら折れ。日光側よりも勾配がきつい。崖崩れもあったし、こちら側の方が厳しい斜面だと思われる。
細尾峠旧道は市道として整備が続けられているが、その理由の一つは峠から派生する登山道のアプローチであることだろう。しかし、登山道に取りつくためには峠の片側だけ生きていればよいが、それは我々にとっては意味がない。今後、致命的な崩壊が起こらないことを祈る。いつかもう一度、足尾側から上ってみたいのだ。

足尾側の旧道入口は通行止めの柵で閉じられていた。しかしこの柵は本気じゃない。この峠道がいかなる手段によっても通り抜け不可能なときははるかにガチな柵で封鎖される。

地図のリンクは https://ridewithgps.com/routes/41307683

今回の遠征前には、細尾峠旧道を走れるかどうか危惧していたのだが何とか通り抜けることができた。現時刻はちょうど14:00である。後編では渡良瀬川に沿って下ってゆこう。
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