86. 鎌倉
2023年5月
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関東で随一の歴史をもつ街である鎌倉。この街の複雑な地形と道の歴史は、ある意味鶏と卵のような関係であり一筋縄では行かない。第2回以来の13年ぶりに訪問し、13年前より少しだけ、この街の道を丁寧に辿ろう。


第34回以来、9年ぶりに単身赴任が解消した。当面は、これまでのような大がかりな遠征は難しいだろうけれど、半日なら十分にチャンスがあるので積極的に乗って行こう。

ということで、今日は8:35に東京の自宅を出発。まずはR1第二京浜を南へ。今回の自転車はいつものKHS F20Sではなく、新規購入したDAHON K3だ。14インチで転びやすいので気を付けて走る。

松原橋。親柱の装飾がただ物ではないが、S15竣工の日本初の幹線道路の立体交差とのことだ。ここはR1と環7の交差点だ。

多摩川大橋を渡り、東京都から神奈川県川崎市へ。多摩川大橋はS24竣工。戦後間もない時期の竣工は意外だ。

川崎市を走る。第1回では東京から横浜までは旧R1のR15を走行したのでこの区間は初めて走ることになる。東京都の区間は自転車の走行ラインが明記されていて走り易かったが、川崎市に入って少し走りにくくなった。

この先であっという間に川崎市から横浜市へ。この辺りの川崎市はとても細い。

R1を跨ぐ響橋。戦前の橋によくあるコンクリート製の開腹式上路アーチの橋梁だが、あまりに巨大なので現地では新しい橋と勘違いした。実際は、S16竣工の歴史のある橋だ。wikiによると、ここは幻の東京五輪のマラソンコースの折り返し地点であるため、このような目立つ橋が架けられたとのことだ。

JRと並走して走る。神奈川区に入ると一気に横浜の雰囲気になった。

青木橋の交差点でR1は左折するが、トレースせずに直進。R1とR15が合流する青木通の交差点は見に行ってもよかったかもしれないな。

写真は首都高の横浜駅西口ランプ。

道なりに走ると、だんだんとローカルな道になってきた。天王町の先で一方通行になるが、自転車は走行可能だ。ずっと進むと、R1に合流する直前でJRの踏切を渡った。名称は東海道踏切。ここまで走ってきた道が旧R1ということだろうか。

R1を進む。権太坂を問題なく上ってゆくが、頂上付近ですき家が現れたので早めの昼食休憩にした。10:35に再び走り出した。

戸塚でR1と別れ、r203を南下する。大船駅の先のr302との交差点を左折し、鎌倉方面へ。

せっかく鎌倉に来たので切通にも行ってみようと思い、あまり下調べせずにgoogle mapにあった長窪の切通と書かれた地点に行ってみたが、切通らしきものは見つけられなかった。江戸以前の徒歩道に関しては、自転車に乗れなくなってから歩けばいいと思っているので現状では素人だ。

写真は高野公園の辺りにあった人工的な地形に見えた箇所。

続いて、写真の台亀井隧道へ。鎌倉周辺にはこのような素掘りの隧道がいくつもある。竣工年は不明だが、鎌倉市によると、明治時代の竣工とのことだ。

r21を進み、鶴岡八幡宮の正面まで来た。とても観光客が多い。

13年前の第1回に、同じ場所に立ったことを覚えていた。

そのままr21を進み、ちょうど12時に由比ヶ浜に到達。

R134を東へ。タイミングを見計らってR134から外れ、脇を平行する道へ。その先に写真の小坪隧道。R134飯島トンネルの脇にあるので一見すると旧R134に思えるが、違う。T2竣工の古い隧道だが、S49に災害復旧工事として改修されたとのことだ。

この隧道、ネットによると竣工当初は天照山隧道とよばれていたようだ。

小坪隧道の先の交差点を左折し北上すると、隧道が3連発する地点でr311に合流する。この道が旧R134だ。第2回以来の再訪だ。

ということで、最も東側に位置する小坪隧道。先ほどの小坪隧道と同名だが、こちらが元祖といえる。第2回では逗子側を載せたので、今回は鎌倉側を載せた。

M16竣工だが、この年は鐘ヶ坂隧道の竣工年なので、最初からこの姿ではないはずだ。ネットによると竣工当初は素掘りであり、大正年間にこの煉瓦巻の改修がなされたようだ。そうであればとても納得がいく。

3つの隧道のうち真ん中にある逗子隧道。現地ではこれも古い隧道で、後年に改修されてこの姿となったと勘違いした。

現在、ここには上り、下りあわせて6本の隧道がある。その中で古いのは小坪と名越の2本だけだ。この隧道ができるまでは、尾根を迂回していたようだ。

名越隧道。小坪隧道と同じくM16の竣工であり、大正年間に改修されている。写真は鎌倉側の坑口。逗子側の坑口はコンクリで改修されているが、わずかに煉瓦の名残も見える。

現時刻は12:35。再び鎌倉市の中心部へ。

鶴岡八幡宮の東には低いがはっきりとした稜線がある。今日はこの先、宝戒寺隧道により稜線を潜り、帰宅する予定。せっかくなので、そのすぐ東にある釈迦堂切通に寄って行こう。単なる住宅地の路地としか思えない道を上ってゆく。

釈迦堂切通。隧道ともいえる構造でありとても興味深いが、2023年5月現在、残念ながら立入禁止だ。 今後整備され、解放されることを祈る。ここは素直に引き返す。

切通から下り、宝戒寺隧道へ。

宝戒寺隧道。竣工年は不明だが、ネットによると昭和初期とのことだ。竣工時からこの坑口だったのかは気になるが、これもわからない。

一気に下り、r204に合流。朝比奈峠を目指して上る。

それなりの距離を上ってきたが、そろそろ峠だろうか。第1回に下った道を上り返しているのだが、思いのほか長い上りだった。

白看が出現。このタイミングということは、峠だろう。

朝比奈峠に13:20に到達。標高はたった108 mだが、しっかりとした峠道に感じた。鎌倉市から横浜市へ。

朝比奈の交差点でr23に合流。この場所ははっきりと覚えている。13年間、沢山の峠を自転車で越えてきたが、自分にとって始まりの峠道はここだ。

13:35に金沢八景駅に到着し、京急で帰京した。

金沢八景は11年前の第21回のゴールでもあるが、当時の面影が全くなくて驚いた。

地図のリンクは https://ridewithgps.com/routes/43101466

今回の走行距離は61 km。ちょうど5時間走ったのでいつもと比べても悪くないペースだが、DAHON K3の走行性能が結構高いと分かったのは有意義だ。KHS F20sと併用して、これからも積極的に走って行こう。
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