78. 鐘ヶ坂 前編
2021年11月
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日本で最初の煉瓦製の道路隧道。ここが全ての始まりだったというわけではなく、同時多発的だったのだろうとは思うのだが、金字塔であることは間違いない。京都の誇る素晴らしいコースとセットで満喫しよう。


今日は第60回以来4年ぶりの京都駅八条口を7:40に出発。本当は7時過ぎに走り始められるように移動してきたのだが、名古屋で電車が遅れて始発の新幹線に乗り損ねたことと、緊急に自転車の不具合を直したことから、この時間になってしまった。

写真は自転車の修理中にたかばしの跨線橋から撮影。そもそも、第77回の時点で後輪のタイヤが少し変形していて、はっきり言って寿命だった。前日に空気を入れ、問題なさそうなので今回まではこのタイヤで行こうと思ったのだが、当日朝に名古屋で駅に向かって走っているときに、前輪のサイドが膨らんでフォークに接触していることに気が付いた。こんな状況で走ると、すぐにパンクしてしまうだろう。膨らんだところに硬い紙を入れて接触しないように応急処置し、走り出した。

堀川五条からはR9を西へ。今日の目標は福知山だったんだけれど、既にトラブルで時間を食っているので難しいだろう。行けるところまで行ければいいという気分で、むしろ気楽に走れた。

五条天神川を右折し、R162へ。第53回第54回で走行した周山街道の国道だ。

8:35に福王子に到達。第54回ではここに東から来て右折して北に向かったが、今回は南から来て左折して西へ。

r29を進む。右手には広沢池。

広沢池の先の景色。写真の左手は住宅街なんだけれど、このような里の風景が保存されていることに驚いた。

嵐山に到達。ちょっと迷ったが、無事にr50にたどり着けた。完全に観光地だ。焦らずゆっくり走る。

鳥居本を進み、化野念仏寺を過ぎると前方に愛宕神社の鳥居。右手の道はr137で清滝トンネルへ。わかりにくいが、道の脇にあるヘキサがr50は左手に続いていることを示している。

観光客と思われる車やバイクが、r50に一瞬入って引き返していた。

というのも、r50はいきなりこの雰囲気だ。そういえば、芹生峠に向かうr361も、貴船神社の先で雰囲気が一変した。この急激な変化も、京都らしさの一つと思う。自転車で楽しいのはここからだ。

六丁峠を目指して上ってゆく。道幅は狭いが、ガードレールがあるので走行に問題はない。

9:10に六丁峠に到達。標高は約170 m。

六丁峠から嵯峨側を振り返る。急坂を直線的に上ってきたことが分かる。写真には写っていないが、頭上には嵐山・高雄パークウェイの高架がある。

六丁峠から、つづら折れで下ってゆく。

左手に、真っすぐに伸びる特徴的な谷が見えた。遠くに、橋や線路が見える気がする。一見しただけで、何というか、格の違いを見せつけられた。これが保津峡だ。

r50は、保津川を目指して一気に下る。厳しい線形だ。

谷底に降りてきた。清滝川を渡り、写真の落合隧道へ。S16竣工。扁額は右書きで「落合隧道」。反対側の坑口の扁額は「竭誠盡敬」。坑口は丸石をコンクリで固めたもののように見える。珍しい造りであり、観光地であることが意識されているのかもしれない。

落合隧道を抜けると、r50は保津川に沿って進む。

少し進むと、保津川に橋が架かっている。トロッコ保津峡駅、つまり、山陰本線の旧線の保津峡駅だ。ここは寄り道しよう。

橋からこれまで走ってきた方向を振り返ると、前方の山に白いガードレールが見えた。先ほど下った六丁峠の峠道だ。5枚上の写真では、あそこからここを見下ろしていたことになる。

9時半にトロッコ保津峡駅を出発。r50を進み、写真の鵜飼隧道を潜る。先ほどの落合隧道とそっくりな隧道だ。S16竣工。反対側の坑口の扁額は、「平安乾域」。

鵜飼隧道の脇には旧道がはっきりと残っているので、侵入した。残念ながら通り抜けはできなかったが、未舗装の旧道を味わえた。

鵜飼隧道を抜けると、前方に保津峡駅が見えた。トンネルに挟まれた橋の上に駅があり、凄まじい立地だ。さらに、そこに本格的な通勤電車が停まっているのがすごい。中央西線の古虎渓駅と似ているところがあるが、こちらの方が極端だと思う。

山陰本線が最初からこの位置を通っていたら、ここに駅が設置されることはなかっただろう。

r50を進む。r50は保津峡駅以降保津川から離れ、水尾川に沿って続き、数km進むと水尾の集落に到達する。水尾の集落があったからこそ、旧保津峡駅が設置されたのだと思う。今日は、残念ながら水尾には向かわず、なるべく保津川に沿って走りたい。

そこで、r50から離れて、松尾谷林道を走ろう。本当は、r401嵯峨亀岡線が、r50から分岐して亀岡まで続いているはずなのだけれど、車道としては未開通だ。未開通区間を、この松尾谷林道が繋いでいる。

橋を渡ると京都市右京区から亀岡市へ。

保津川沿いに戻るために、尾根を越える。

尾根を越え、下ってゆく。左手は再び保津峡だ。山陰本線の現役線がちらちらと見える。路面の状況は、走行に全く問題がない水準を保っている。

保津峡の対岸には、再び旧線が見えるようになった。さらに進むと、新旧線の交差点も眺めることができた。

保津川の川筋は著しく屈曲しているが、亀岡に向かって最後に大きく左に曲がると、雰囲気が変わる。少し進むと、写真の標識が現れた。一つは、全面通行止であることを示す。もう一つは、ここが林道松尾谷線の起点であることを示す。ということは、ここから先はr401ということになるのだろう。

県道になってからの方が、路面は荒れていたかもしれない。

象頭谷橋。写真は裏側だが、再び通行止の標識が現れた。6枚上の、嵯峨側の通行止に対応するもののように見えた。

この先、路面の状況は一気によくなった。前方には保津峡の出口を望むことができる。旧保津峡駅でも触れたが、第39回で走行した、古虎渓から多治見の市街地に抜けるところととてもよく似た雰囲気だ。

r401のヘキサが現れた。写真は保津峡を振り返っている。

右手には請田神社。ここまで来ると、保津峡を完全に抜け、視界が開けた。

地図のリンクは https://ridewithgps.com/routes/38068415

現時刻は10:20。約1時間かけて、保津峡のエリアを走ってきた。京都の誇る、素晴らしいルートだ。今日はいつ自転車に致命的な不具合が出ても仕方ないと思いながら走っているのだけれど、ここを走れただけでも来てよかったと感じた。

Ride with GPSが松尾谷林道をうまく走れないので概算だが、ここまでの総走行距離は約23 km。ここまではいくら時間をかけても気にならない道だが、この先は距離を稼いでいこう。
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