75. 楢峠と利賀村 前編
2021年7月
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開かずの酷道として知られる楢峠。何となく地味な印象で、簡単にアクセスできる場所でもないので遠征の選択肢に入ってこなかったのだが、二年前に入口を覗いたとき、いつか走らねばと強く思った。富山県と石川県の初走行でもある。


高山に前泊し、飛騨細江駅を6時に出発。
高山を起点にするときはいつも厳しいコースを設定するが、今回はそうでもないはず。前回、早朝から走り出して調子が悪かったので、もう少し遅いスタートにしようか迷ったが、通行止めのリスクを考えると時間はいくらあっても足りないので結局早い時間に走り始めた。

R41を北上すると、すぐにR471が左手に分岐する。写真の温度計によると、気温は18℃で半袖だと肌寒い。第61回を教訓に、ウインドブレーカーをもってきているんだけど、耐えられる範囲なので温存した。

R41と別れると、第69回で印象に残った電光掲示板が現れた。第69回では、R360天生峠は通行可能だったが、R471楢峠は通行止めだった。今日は「通行注意」ということは、どちらも走行可能だ。

写っていないが、代わりに、r34利賀河合線の通行止が掲示されていることに驚いた。ネットによるとここはずっと通行止で、開通させる気があるようにも思われない。

R41と別れると山深くなる。第69回と同様、野口トンネルは旧道を走った。

角川でR360と合流。河合橋を渡る。青看には天生峠だけが表示されている。

R360、R471、R472の重複区間を進む。おにぎりはR360とR471で、R472は省略されている。

旧河合村の中心部を抜け、6:30にR471とR472の分岐に到達。ここには青看があるが、R360を進むと天生峠に到達することだけが書かれており、R471・R472に関する情報は消されている。

第69回と違い、今日はR471・R472を通行できる。現時刻は6:35。この細い道を上ってゆこう。

すぐに距離を示す青看が現れた。富山も南砺もはるかな遠さだが、この青看には見過ごせない情報が含まれている。一つは、南砺までの距離が示されていることで、南砺の意味が市役所付近なのであれば、この68 kmはr34を経由している距離だ。

すぐにガードレールがなくなり、このスペックになった。

舗装の状態も悪く、とても国道とは思えない。

けれど、R471とR472の串刺しおにぎりが律義に立っている。

国道には、真に必要とされる路線が指定されているはずで、新道の開削計画、ダムによる水没予定、不通区間の存在といった理由がないにも関わらず、この国道がこの規格で現代に存在しているのは奇跡と思う。

蜘蛛の巣に苦しんだことを覚えている。現道でこれだけ蜘蛛の巣だらけな道は珍しい。ここ数日、誰も走っていないんじゃないかと思いながら進んでいると、ようやく一台の車とすれ違い、それ以降、蜘蛛の巣に苦しむことはほとんどなくなった。

分かりづらいが、この地点で道の雰囲気が変わる。ここまでは川に沿って緩やかに上ってきたが、ここから先は、前方の斜面をつづら折れで上ってゆく。

白飛びがひどい。ズタボロの舗装路に再び立つおにぎり。

明るくなった。この気配がすると、峠は近い。

前方に見える凹みの辺りが峠だろう。

峠の直前で、河合側の麓を望むことができた。珍しくガードレールがある。

8:20に楢峠に到達。標高1220 m。楢峠は県境でも町村境でもなく、峠であることを示すものはない。唯一、お地蔵さんが立っているだけ。走行時も峠であることに確信をもてず、この先が本格的に下っていることから峠と判断した。
楢峠を越える峠道は、S23に林道として開通したようだ。

峠で朝食休憩をとり少し下ると、写真の分岐に到達。直進方向はr34利賀河合線。もちろん通行止で、青看の行き先も消されているが、線形からはこちらが本線だったようにも見える。ネットによると消されたところには南砺60 kmと書かれていたようであり、11枚上の青看と辻褄が合う。R471とR472は右手に分かれる。

今日は時間に余裕があるので、r34を県境まで寄り道しよう。r34は最初、穏やかな雰囲気で始まる。前方に見える稜線が県境だろう。

最近刈り払いされたようだ。問題なく走行できる。

最後は少し上り、写真のゲートに到達。ここから先は富山県。

ネットで調べると、ここは二ツ屋峠というらしい。標高は1256 m。ゲートの左手から侵入する。

二ツ屋峠は県境だけあって、色々な標識が出迎えてくれる。ヘキサもあるし、利賀村まで27 kmと書かれた標柱もある。現地では、富山県側は登山道県道と錯覚してしまったのだが、これらの標識はこの道を車で通行可能だったころから立っていたようだ。帰宅後にネットで調べて驚いた。

r34の富山県区間に少しだけ進入する。かなり荒れていることから、未舗装と思われる。この道を抜ける気はないので、ここで引き返す。

県境に戻ってきた。岐阜県と飛騨市の標識が出迎えてくれた。

再び岐阜県に入ってr34を引き返し、9:00にR471・R472に合流。国道を下ってゆく。

下り始めて、写真の地点でいきなり転倒した。急坂、凸凹の路面と砂の組み合わせにやられた。第74回が雨だったので、ブレーキがかなり減ってしまっていたかもしれない。第66回のパンク以来、暑い日はブレーキを控えめにしてしまっていたことも影響している。

ディレイラーが変な方向を向いてしまったが、何とか直った。こんなところで自走不能になったら悲惨だ。何せ富山まで50 kmもある。

相変わらず国道と思えない状況の道を下ってゆく。

9:20に県境に到達。ここから先は富山県。県境は何も特徴がない地点にある。
地図のリンクは https://ridewithgps.com/routes/41472511

ここまでの走行距離は36 km。ここまで3時間20分走ってきた。楢峠を越えてきたので悪くないペースだろう。
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