2013年現在、日本の国土には5万kmを越える国道が張り巡らされており、その最高所として君臨するのがR292渋峠である。自転車での遠出を始めてから3年、遥かな高みに思えたこの峠に挑戦するときが遂にやってきた。厳しい遠征になることは間違いないが、日本有数の絶景道路でもあるこの峠道を精一杯楽しもう。
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時刻は7:40。今日は軽井沢駅から走り始める。新幹線の場合、渋峠へはここから向かうのがおそらく最も楽なはずだ。今回は迷わず最易ルートを選んだ。 写真は駅から碓氷峠方面を望む。写っている線路は全て廃線。
今回の遠征は、碓氷峠、十石峠、内山峠と続いてきた上信国境峠シリーズの最終回でもある。ラスボスに挑む気分で走り出した。
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R18を少し進み、写真の中軽井沢の交差点を右折。R146の終点である。 |
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早速上りが始まった。浅間越まで8 kmの上りで400 m以上標高を上げる。今日はここで足を使いすぎないようにすることが重要だ。後ではるかに長い上りが待っている。 かなり交通量が多く、自分のペースで走りにくい。
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この峠道はかなり改良されてきたようだ。軽井沢の別荘地帯を抜けるとずっと登坂車線を備えているので実質三車線の道路である。改良されたためか改良前の話か分からないが、所々に急勾配を示す警戒標識が立っている。写真に写っているのは14%の標識。 |
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前方に浅間山が見えた。さらに上り続ける。自動車と干渉せずに上って行けるので、登坂車線があるのはありがたい。 |
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遂に登坂車線が無くなった。この地点で上りは終わり。現時刻は8:50であり、順調に上ってこれたといえるだろう。 この地点はおそらくこの峠道の最高地点なのだが、峠であることを示す物は何もない。
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緩やかに下ってゆくと変則四叉路の交差点が近づいてきた。左前方と右折方向は有料道路なので、自転車は右前方に進むしかない。 地図ではこの辺りに浅間越と表記されているのだけれど、現道には何もなかったように思う。峰の茶屋の辺りをもう少し探せばよかった。ツーリングマップルによると浅間越の標高は1406 m。軽井沢から約450 m標高を上げた。
R146はS28に国道指定されている。それ以前は鼻田峠と呼ばれ、軽井沢側は現道と異なるルートを通っていたらしいが、どのような道だったのかよくわからない。直感ではS28に初めて車道開削と見るがどうだろうか。そろそろネットの情報に頼らず、自分で古地図を見に行かなきゃならないのかもしれない。
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交差点から2 kmほど下ると長野-群馬県境を跨ぐ。県境というバス停がある。自身七度目の上信国境越えだ。 この道は嬬恋村と長野原町の町村境も兼ねていて、写真の道の左側が嬬恋村、右側が長野原町である。この先、町村境は道の左手に逸れていくので、いつの間にか長野原町を走っていることになる。今回の遠征では、どの町村を走っているのかよくわからなくなることが何度もあったのだが、あとでこれが原因の一つとわかった。
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さらに下って行く。左手に浅間山がよく見えた。今日は快晴といっていい。 |
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r241が分岐。吾妻線の万座・鹿沢口駅を経由して嬬恋村の中心部に向かう県道である。草津に向かうR292まで少し遠回りだが、吾妻川をR146より上流で渡るため今後上るべき標高差を100 mくらい節約できる。当初はこちらに向かおうと思っていたのだが、羽根尾の国道三起点に惹かれたので直進した。
青看のr241方向は嬬恋と表示されているが、当時は嬬恋村を走っている気になっていたので混乱した。現時刻は9:25。ここまで約27 km走ってきた。
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吾妻川の谷に差し掛かり、下り勾配が一気に急になった。写真はその途中にあった休憩所からの眺め。これから進むべき方角が見渡せる。吾妻川が削った谷はかなり深く、すぐにかなりの高さを上り返さねばならない。r241に向かわなかったことを少し後悔した。
はるか彼方の森の中に街が見えたが、草津だろうか。そして最終的には左奥に見える山の、頂の高さまで上ることになるのだろう。
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谷に下りてきた。R146で唯一の、センターラインのない区間だと思う。 |
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吾妻川を渡り、羽根尾の交差点に到着。予想よりはるかにしょぼい交差点だ。ここがR144、R145、R146の3本の国道の起点であるというのは本当に謎だ。少なくともR144とR145、またはR145とR146をここで分断する意味はないと思う。 国道三起点の立派なモニュメントに標高664 mとあった。ここから約1500 m上るのだ。ちょうど塩之沢峠とぶどう峠を足したくらいであり、前回の遠征は本当に良いシミュレーションだったと思う。現時刻は9:45。前回塩之沢峠を上り始めたときより一時間早い。何とかなるだろうと言いきかせ、進んでゆくことにした。
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少しだけR145を下る。その途中にあった遅沢橋の旧橋。 |
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大津交差点を左折し、遂にR292の上りが始まった。今回は二本あるR292のうち、西側の道を走った。 腹減りだと上れないので朝食休憩をとり、ちょうど10時に走り出した。草津まで10 kmの道のりで約600 m上る。
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長野原から草津のR292はこちらの道が元有料道路で、旧六合村の中心部を通る東側の道が一般道と聞いていた。そのためこちらは新規に開削された道だと思っていたのだが、どうやらそう単純ではないらしい。草津への上りの途中、旧道の断片に見える道が数か所ある。写真はその一つにある神奈橋。S10竣工であり、さらに親柱の一つには「澁川町約三十二粁、草津町約七粁四」とある。県道とかではなかったんだと思うけど、相当昔からあった道なのだろう。 |
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約5 km上り、10:25に長野原-草津の町境に到達。自分にとってはかなり急な上り坂が続く。交通量も多い。後から考えると、草津への上りは今日の遠征で一番厳しい区間だったと思う。 |
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標高1000 m地点。気温は28°C。もう少し涼しいと助かるんだけど、もっと上らないとだめか。 |
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交通量の少ない旧道に逃げ込む。井戸水を流しっぱなしにしている家があったので手と顔を洗わせてもらった。生きかえる。 |
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かなりへばっていたのでセブンイレブンでアイス休憩をとった。10:50に出発。ゴールは近いはず。 交通量は相変わらず多いが、途中から登坂車線があるので上りやすくなった。
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ついに登坂車線がなくなった、ということは草津への上りが終わったということだ。現時刻は11:05。標高は約1230
m。R292のスタート地点から約1 hで上ってきた。 ちょうどいいタイミングだったので蕎麦屋で昼食休憩。11:30に再び走り出した。
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草津の中心部を走る。写真は草津交差点。二本あるR292の合流地点である。 自分にとっては十年ぶりの草津だ。櫻井の巨大なビルは変わらない。
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緩やかな上り坂を進み、草津国際スキー場に到達。次のステージが始まる。 |