73. 伊勢本街道 前編
2020年10月
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大和から伊勢に向かう街道として栄えた伊勢本街道。晩秋の遠征としては適度な道のりだったし、さらに、紀伊半島の内部を意識できたことは今後に繋がる重要な点と思う。


今回は8:30に松阪駅を出発。松阪は第63回以来の3年ぶりだ。はじめて近鉄を使って輪行したのだが、想像以上の快適さだった。

今日は快晴だ。風向きが気がかりだが、何とかなるだろう。

まずはR166和歌山街道で南西に向かう。写真の高架橋は伊勢自動車道。

いつものように旧道っぽい道を選んで進む。

現道に戻ると、上りが始まった。すぐに小さい峠に到達。瀬戸峠、標高152 m。

現時刻は9:15。今日はこれから大きくない峠をいくつも越えていく。

瀬戸峠を下ると、伊勢本街道と合流したようだ。旧飯南町のエリアを進む。左手には櫛田川。

R166からR368が分岐する。ここは右折してR368へ。

R368に入った途端に、大型車通行止の看板が連発。いい感じだ。大型車が走れない現役国道峠って、いつ以来だろうか。もしかして温見峠以来か。百井峠も不可能なはずだが、あそこは論外なのか、標識自体が無かった気がする。

R368を進んでいると、右手にいかにも旧道という道が分岐したのでこちらを走行する。

旧道沿いの集落は、伊勢本街道に沿って形成された宿場町のようだ。伊勢本街道であることを示すものがいくつも見つかる。今回はこのパターンを繰り返すことになったが、旧道を辿りやすいのはありがたい。

現道に合流し、少し進むとR368が本領を発揮する。右手に上ってゆくのがR368。現役国道としてはかなりのしょぼさだ。

ここには歴史がありそうな商店があり、道の雰囲気が切り替わることを感じさせた。仁柿峠の峠道が始まるのだろう。一見、左手の道は行き止まりに見える。後で知ることになるが、江戸時代以前の街道である櫃坂はこちらを通っていたようだ。つまり、新旧道の分岐といえるかもしれない。朝食休憩をとり、10:10に出発。

仁柿峠道が始まった。いきなりガードレールのない1車線幅だ。見づらいが、左手の標識によると飯南町境まで4 km。つまり、これから4 kmの上りだ。

小刻みな左右のカーブが楽しい。普通の国道峠であれば、法面を削ることでなるべく直線にされているだろうが、そういう最低限の改良も行われていない。

断続的にガードレールがない区間が現れる。路肩からの転落が致命的な結末に直結するような斜面ではないが、例えば自動車のすれ違いは考えたくない。

峠道を上ってゆくと、景色が開けた。

特徴的なヘアピンカーブ。ここまで上れば、峠はそう遠くない。

立派な「伊勢本街道 櫃坂」の標識。伊勢本街道と合流した。街道筋と合流したということは、峠は近いだろう。この標識の近くに、非常に丁寧に道の歴史が書かれた案内板があった。大変ありがたい。それによると、上ってきた仁柿峠道の開削はM39とのことだ。明治の峠道の道筋がそのまま現役国道として使われ続けている珍しい例といえる。

10:40に、仁柿峠に到達。標高430 m。峠に到達したのはいいのだが、ここまでの道のりとは雰囲気が一変した。周囲の変化に頭がついていかないが、

橋の下はこのようになっていた。どう見ても未成のバイパスだ。この高さにバイパスがあるということは、仁柿峠が片峠、または勾配が非対称な峠ということだ。ここからこの線形で松阪側に下っていくのは大変だろう。高架やトンネルを使ってループ的な構造を作るしかないと思う。長い期間、未成のままに放っておくと、この規格自体が時代遅れになりかねない。いつか、開通することがあるのだろうか。

峠には、伊勢本街道の宿場に由来する集落がある。現在は定住者がいない廃村のようだが、きれいに管理されている。

峠から先は津市。旧美杉村のエリアになる。峠道を下ってゆくと、旧道が分岐するのでこちらを走行した。

旧美杉村の中心部に下ってきた。ここも宿場町である。

旧道をさらに進むと、右折方向と左折方向だけが表示され、直進方向が示されていない青看板が現れた。現地では、少し違和感をもつことはできたが、正解にはたどり着けなかった。

直進した先の飼坂峠には、H6まで車道が存在しなかった。それまでは、自動車はほとんど全てここで右折または左折したはずだ。この国道の整備時期の遅さは、「島」としての紀伊半島を感じさせる。

さらに旧道を進んでいると、今にも徒歩道に変化しそうだったので現道へ。振り返ると、先ほどの交差点に対応する現道の交差点に青看が立っていた。右折すると、R422は丹生俣以遠通行不能。庄司峠の未開通区間だ。野又峠とセットで、いつか自転車で上ることがあるだろうか。

現時刻は11:05。飼坂峠を目指して上ってゆく。今日は伊勢本街道の飼坂峠に立つ予定はないので、あまり上らなくて良いはずだ。

11:15に飼坂トンネルに到着。写真はトンネルを潜った先の奥津側の風景。

奥津に下り、旧道を行く。名松線の終点である伊勢奥津駅に寄り道して、再び進む。

旧道に残っていた青看。直進すると名張まで29 km。

奥津から先、R368は再び緩やかに上る。

なるべく旧道を選んで進んでいると、何も特徴のない地点に県境を示す標識が現れた。自転車で奈良県に初上陸だ。

地図のリンクは https://ridewithgps.com/routes/41472201

現時刻は正午前。ここまで3時間半弱で44 km走ってきたので、自分にしては良いペースと思う。
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