36. 温見峠 前編
2014年6月
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「落ちたら死ぬ」の看板で知られるR157温見峠。全国区の知名度を誇る現役酷道峠である。果たして本物なのか、それとも看板倒れか、この目で確かめるチャンスが到来した。


前々回から続く奥美濃シリーズの第二話である。6:25に穂積駅から走り出した。本当は岐阜駅から走り出した方がきれいなんだろうけど、少しでも走行距離を短くするために穂積駅を始点とした。今日も時間がタイトだ。
素晴らしい煉瓦アーチであったはずの隧道で東海道線を潜り、駅の北側へ。仕方がないんだろうけど、残念な塗装が施されていたので写真は載せない。

素直にr23を北上すると右手からR157とR303が合流した。第34回の経路と合流したことになる。見づらいが、根尾まで27 kmであることが青看に表示されている。当面の目標だ。

三橋南の交差点でR303と別れR157単独区間に。今日はここからR157を約100 km走り続けることになるだろう。
本巣市役所の前を7時頃に通過。r78の交差点を左折して少し進み、旧道と思われる道へ。バス停、郵便局と旧道であることを支持する施設が現れる。さらに写真の踏切に証拠があれば完璧だったんだが、残念ながら旧道であることを読み取ることはできなかった。この区間の国道指定がS50と比較的新しいことが関係しているかもしれない。

道なりに進みr40へ。小さくヘキサが写っている。万代橋を渡らず、本巣トンネルをちょうど抜けた地点のR157現道に合流。

左手に樽見鉄道の第一根尾川橋梁が現れた。S31に東海道線の木曽川橋梁から転用されたもので、M42供用の明治橋梁だ。

佐原トンネルの旧道を走る。R157岐阜県側には3本のトンネルがあるが、いずれも旧道で回避できる。

鍋原で根尾川を離れ金原へ。日当集落の手前で再び根尾川沿いに戻る。一見遠回りだが、根尾川が険しい渓谷を形成する区間を上手に回避している。この区間の根尾川がどのような姿かは、対岸のr255を走って確かめる必要がある。
写真は日当駅。根尾川に沿って走るR157旧道と直交している。

突然前方の視界が開けた。中央に日当平野トンネルを抜けてきたR157現道が見える。
この地点の少し手前に、淡墨桜や断層などを案内する看板が立てられており、旧根尾村のエリアに入ったのだと感じた。

現時刻は8:10。今日は十分に時間がある。

高尾中央橋を渡り根尾川右岸のr255へ。この道がR157旧道かどうかはあまり自信がないが、この先に有名な根尾谷断層がある。
この断層の写真を初めて見たのは小学生のころだと思う。ずっと気になっていた場所を訪れることができた。自転車に感謝しないといけない。

R157に再び合流。青看の行先に温見峠となった。右手から合流するR418と共に温見峠に向かう。
ちなみにこの青看の行き先は修正されている。以前は金沢・大野または福井・大野だったのだろう。いつからか、R157で県境を跨いで大野に向かうのは公式にはお薦めされなくなったようだ。油坂峠道路の開通以降だろうか。だとすると、S50以前の状況に戻ったことになる。

せっかく根尾まで来たからには淡墨桜を見ておかねばなるまい。根尾谷断層とセットで訪れると感慨深い。鉄筋コンクリートの建築物でも容易に破壊されるような凄まじい揺れが襲ったはずだ。
いつか満開のときに再訪しよう。

二枚上の写真の交差点に戻ってR418へ。道なりに進むと樽見鉄道終点の樽見駅前を過ぎ、写真の交差点に到達する。おそらく直進が旧R418で、左折方向が旧157と思う。

R157現道に戻り、少し進んだ先にある根尾の道の駅で休憩。かなり上らされた。できれば道の駅は道沿いに造ってほしい。
色々と道草を食ってしまった。飲料を十分に確保し、9:20に出発。今日の本番はここからだ。

二車線幅を保っているが、これまでの現道とは雰囲気が一変した。

酷道であることを示す警告。大型車は当然通行不能だ。

岐阜県側の最終定住集落である能郷に到達。いつもの道路情報の看板とおにぎりがセットで現れた。人が通年定住する集落はここから50 km以上存在しない。まともなエスケープルートもない。ここから先に進んだなら、突破あるのみだ。

例の看板が現れた。R157温見峠道の最強区間である倉見渓谷の始まりだ。

幸いにして今日はゲートが開いている。ひとたび大雨が降ると数年は平気で閉鎖される開かずのゲートだ。実際、今回通過してから二週間後に大雨で再び通行止めとなった。

9:45、能郷ゲートを通過。

いつものことだが酷い白飛びで申し訳ない。ゲートから先は、基本的に完全一車線と言っていいほど狭い。ガードレールもなく、崖下は絶壁である。落ちたら死ねるのは間違いない。四輪では決して走りたくない道路だ。対向車が来たら本当に泣ける。

しかし、自転車だと相当に楽しめる。勾配は気にならないほど緩く、交通量は皆無だ。ただし路面には落石が多いので、踏まないように注意して走った。

最強区間に立つおにぎり。このように離合可能な箇所もある。
これまでに走行した酷道峠を思い出しながら走ったが、帰宅後に写真で比べるとこれまでの遠征で最も酷な現役国道であることがわかった。例えばR299十石峠R352枝折峠はより広幅員でガードレールも完備されている。

根尾西谷川との高度差が縮まり倉見渓谷区間の終わりを予感する。そこで現れるのがこの大崩落跡だ。この区間を2012年まで7年間も通行止めとした原因だ。いつ崩れてもおかしくないことが一見してわかる。ここを回避しない限り、R157は開かずの国道と呼ばれ続けるだろう。

崩落地点のすぐ先の根尾堰堤。石組みの水路が、ただの砂防ダムでないことを示している。下流の長島にある根尾発電所の取水地点であるようだ。根尾発電所はT12竣工である。ここまでの道のりは、当時から車道であったと予想する。

堰堤を過ぎると地形が穏やかになり、民家が見えた。黒津の集落だ。
この辺りに大野57 kmの青看があったはずなんだけど、撤去されたのだろうか。

黒津のゲートを振り返る。R157の能郷-黒津ゲート間は林道によってパスできるため、容易に封鎖されるし復旧は遅い。2014年7月現在再び通行止めとなっているが、近いうちに再び開通することを祈る。

地図のリンクは https://ridewithgps.com/routes/41378326

ここまでの総走行距離は53 km。懸念していた右膝は、少し違和感があるけれど痛くはない。この先もエスケープ不可能な道のりが続く。何とかこのままもってほしい。
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