44. 天竜峡 前編
2015年4月
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関東にいたころから憧れだったエリアへの初挑戦だ。机上の計算によると、名古屋からであれば何とか日帰りで味わうことができるはず。しかし、色々な意味で脆弱なこのエリアへの遠征は、帰れなくなるリスクと隣りあわせだ。今回も途中かなり精神的に追い込まれながらの走行となったが、いつか痛い目をみるまで挑み続けると思う。


今回のスタートは第40回に通過した南木曽駅。8:10に出発。浜松まで走り抜けるつもりだが、どうなるだろう。長野r251赤石峠の路肩崩落、R473原田橋の落橋、R152遠山郷の土砂崩れと当初の計画にケチが付きまくっているのだが、あまり深く考えず走り出した。

第40回で後ろ髪を引かれながらスルーした桃介橋を、今回はじっくりと眺める。T11竣工、H5再建。読書発電所建設のための資材運搬路として造られた。石積みの橋台、コンクリート製の主塔、木製のトラスのコラボが素晴らしい。

南木曽駅から南下し、飯田に向かうR256を目指す。せっかくなので旧中山道を行こう。中央本線の高さから一段上ると、見晴らしが良くなった。貯木場、桃介橋、その先にはすぐに山並みが迫る。

中央本線の隧道坑口の直上が5 tに重量制限されている。かなりの年季を感じさせる制限標識。

標識が設置されていると旧国道なのではないかと妄想してしまうが、基本的には街道なので勾配はきつい。かなり脚を使って上る。

妻籠宿に下る道と飯田に向かう道の分岐を飯田方面に進む。その先の道は中山道と同じ規格に思えるが、ちょくちょく待避所が現れるのが気になる。R256の旧道とは思わないが、かなり古くからそれなりの交通量があった道と予想される。

R256に合流する直前、再び錆び錆びの標識が現れた。解読できないが、ここにこれがあるということは、格の高い道路だったということだろうか。

R256に合流し東に進む。R256は清内路峠へ向けて着々と上る。

R256を進みへ。ここから先は旧道が残っている。勘で正解を選んで進む。

蘭の中心部に到達。現時刻は9:15。出発から1 h以上経過した。意外と時間を食っている。

紛らわしい分岐に惑わされながらも旧道を進み、重要な分岐に到達。清内路峠に向かう旧R256から大平峠に向かう旧r8が分岐する地点だ。
青看がいい味を出している。現R256が建設される以前の段階で、飯田に向かうメインルートは大平峠ではなく清内路峠であったことがわかる。今回は左折して大平峠へ向かう。

旧r8は現道をめがけて一気に上る。

R256現道との交差点から先はr8の現道となる。おなじみのオレンジ色の道路情報表示が現れた。それによると、時間雨量25 mmまたは連続雨量100 mmで通行止め。少し厳しい規制かもしれない。その右には大平トンネルの高さ制限予告。峠道の始まりだ。

幅員減少と注意を促す標識。この先に冬季通行止めのゲートがある。

淡々と上ってゆくと、写真の地点で林相が変わった。素晴らしい雰囲気で道は続く。

ヘアピンカーブ。車道としての大平峠道は明治時代に開削されただけあって緩勾配であり、自転車にとって走りやすい。現役の主要地方道とは思えないほど交通量も少ない。快適な峠道だ。

閉鎖されている木曽見茶屋を通過。ここからは御嶽をはじめ乗鞍や穂高まで一望できるようだが、今日は霞んでいて叶わない。

ガードレールには長野の県道でおなじみのカーブを数える標識が立っている。これがあるとカウントダウンにより気が紛れて助かる。
1号カーブに辿り着いた。

10:35、大平峠に到達。木曽峠とも呼ばれる。標識によると標高1358 m。南木曽から900 m以上、R256との分岐からでも500 m近く上ってきた。
右手に大平街道と書かれた立派な石碑が立っており、この車道がM38に開削されたことが刻まれている。道路トンネル大鑑によると、スノーシェードのような隧道の竣工年はS17。

大平隧道を潜り、南木曽町から飯田市へ。隧道の天井には明り取りの穴が複数開けられており、竣工当初から土被りが無かったことが伺われる。ちなみに隧道の扁額には両側ともに木曽峠と書かれている。

飯田側に下ってゆく。さすがに高標高であり、4月下旬にもかかわらず路肩に雪が残る。

一気に下り、10:50に大平に到達。S45の集団離村により現在は定住者のいない廃村だ。戦前には大平街道の宿場町として栄えたようだが、S38に清内路峠が国道に昇格し、大平街道が木曽谷と伊那谷を結ぶメインルートの座を降りてから急速に廃れたようだ。本集落の存在意義は宿場にあったので、離村は仕方ないと思う。

黒川を渡ってr8は続く。この川に沿って車道が付いていない点が、大平集落の立地の特異性だ。外界に出るためにはいずれかの峠を越えねばならない。

大平を後にし、大平街道の二つ目の峠である飯田峠に向けて上る。大平の標高は1150 m程度であり、大平峠からは200 m程度しか下っていない。飯田峠への上りも大したことないはずだ。

11:05に飯田峠に到着。大平から15分程度で上ってこれた。標識によると標高1235 m。
大平街道には二つの峠があるというよりも、大きな一つの峠の真ん中がちょっと窪んでいて、そこに宿場があるという意識のほうが的確かもしれない。

飯田峠からは標高差700 mのダウンヒル。ちょうど飯田で昼食休憩だろう。途中にあった路肩の崩落。通行に問題はないが、結構派手に崩れている。

斜面にそって二車線未満の道路が続く。相変わらず交通量は少ない。良い雰囲気の道を一気に下る。

松川ダム。ここを過ぎると市街地が見えた。

写真の中央の谷を抜け、飯田の市街地に下ってきた。昼食のために吉野家に向かって走っているのだが、下り過ぎて失敗。空腹に耐えつつ、松川の河岸段丘を上った。

地図のリンクは https://ridewithgps.com/routes/41390239

現時刻はちょうど12時。ここまで4時間弱で約46 km走ってきた。標高差900 mを超える大きな峠を越えてきたので良いペースといえるだろう。これでようやく今回のスタートラインに立ったといえる。
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