41. 国道418号八百津編 前編
2014年12月
← 40. 木曽路 後編
41. 国道418号八百津編 中編 →
戻る

名古屋に移って初めての冬が到来し、R418の本格的踏査の機は熟した。第39回では笠置ダム周辺を味見したが、今回は道路界の聖地を満喫しよう。そして感じたことは、ダムと道路の因果と、この道の素晴らしさだ。ダムにより生まれ、ダムにより孤高となり、ダムにより消えゆく運命にある国道418号。いつか湖底に消えるその日まで、何度でも走りたいと思わせた初めての道路である。


10:15、第39回に通過した土岐市駅を出発。R418酷道区間に八百津側から突撃し、r352の起点に到達することが今回の目的だ。少し遅めの出発だが、路面の凍結を考慮するとちょうどよいはず。
先に言っておくが、今日は笠置ダムまで抜けない予定。せっかくのR418、少しずつ味わうのだ。

旧R19と思われるr385を東進し、大富南交差点を左折。R21を走る。

土岐インターを過ぎると凍結注意の標識が現れ、本格的な山道になる。見づらいが現在の気温は4℃。漕ぐのが辛いほどではないが、もう少し暖かくなってくれると助かる。

山道はそう長く続かない。勾配が緩やかになると、所々に旧道が残っている。山道の区間の旧道は完全に別ルートと予想されるが、調べていない。今回はあくまでR418のアクセスとしてR21を走行している。

3%程度の緩やかな勾配を上り、10:40に次月峠に到達。標高316 mであり、土岐から200 m弱標高を上げた。
峠の先は御嵩町。北斜面は凍結が怖いので慎重に下ってゆく。

鬼岩を通過し下ってゆくと、現道の左手にいかにも旧道っぽい橋を発見した。S28竣工、次月橋。この竣工年でこの幅員は、この橋が幹線道路だったことを強く示唆する。
ここから次月峠を越えて土岐まで、旧R21がどのようなルートを辿っていたのか気になった。そろそろ古地形図に手を出してもいいのかもしれない。

旧中山道r65が合流し、さらに進むとr258の分岐に到達。地図で見る限りでは怪しい県道と期待していたが、早速大型車通行不能の看板が出迎えてくれた。テンションが上がる。

r358を進む。狭いが、大型車通行不能というほどではない。

九十九折れで上ってゆく。この県道、なめていたが結構上らされて疲労した。

坂をのぼりつめると突然集落が現れた。綱木の集落だ。この辺りは台地の上に集落が存在するのが特徴である。通常とは逆で、谷間が不毛の地だ。

綱木を抜けるとr358が本領発揮する。最大幅2.0 mも頷ける貧弱な道が続く。現時刻は11:30。12時にはR418に到達できるだろうか。

標高約360 mの名称不明の切通しを抜けると、一気に下ってゆく。

r358が牙をむく。この下りはヤバい。苔と落ち葉と路面凍結のコラボにより、いつ滑ってもおかしくない。ブレーキをかけるのも怖いが、もし転倒するならスピードが遅い方がダメージは少ないはずなので出来る限りゆっくりと下ってゆく。

ガードレールがない区間もある。冬季に入ってからはほとんど誰も走行していないのではないか。岐阜県の誇る険道と言っていい。

ようやく人家が現れ、ほっと一息ついた。

r358からr366が分岐する。といっても相当に違和感がある。左奥から右手にr358が続き、手前側にr366が分岐している。右手から上ってくると、このr358に突入するのは躊躇すると思う。決して本線とは思えない。

広くなった道を一気に下り、木曽川を渡る。新丸山ダムの工事のためか作業員が複数居り、視線が気になったので右手の古い吊り橋は渡らなかった。S27竣工小和澤橋。6 tの重量制限であり、現代の工事用車両を通すために仮設橋が架かっている。左の橋で、のぞみ橋という。後で調べると、徒歩であれば小和澤橋を渡れたようだ。

のぞみ橋の中央付近から下流側には、蘇水峡を一望できる。上流側には丸山ダムの堤体を望めるが、小和澤橋とかぶっているので後で載せよう。
この橋を跨ぐと御嵩町から八百津町へ。

当初の予定では蘇水峡を走ってからR418に挑もうと考えていたのだが、新丸山ダムの工事により作業員が多数いたので後回しにすることにした。後ろめたいことは何もしていないのだが、人目に付くとやりにくい。帰りに八百津側から探索しよう。
R418の旧道と思われる道を、武並方面に進む。

丸山ダムの展望台を発見したのでここで昼食休憩をとることにした。現時刻はちょうど12時。

丸山ダム。戦前から工事が始まり、S30に完成した日本のダム史に残る最重要ダムの一つだ。現在、この堤体の少し下流側に新丸山ダムの建設が進んでおり、これが完成するとこの堤体は湖底に沈むことになる。

12:15に展望台を出発。今日の本番はここからだ。

早速現れた、めい想の森4 kmの白看。第34回の14枚目にも載せたが、岐阜県の主要道路でよく見られる標識だ。つまり、この道路が主要道路であることを示している。

一つ目の隧道が現れた。S29竣工、安渡沢隧道。竣工年から丸山ダムの建設による付け替え道路と予想される。見えないが、坑口の右手に縦書きで「縣道日吉八百津線」とある。後で再び触れるが、日吉という地名は見過ごせない。木曽川より南側にある集落の名前だ。

さらに進むと、二つ目の隧道に到達。S33竣工、柏木隧道。安渡沢隧道と異なり、ここには旧道があるように見える。

柏木隧道からしばらく進むと、この旅足橋が現れる。安渡沢隧道と同じくS29竣工。新丸山ダムが完成しても、決して水没させてはならない超大物だ。Wikiによると、同型の橋は世界を見渡しても5橋しかなく、日本には唯一とのことだ。
ダムの付け替え道路の橋は、奥いび湖大橋徳之山八徳橋のように豪華でオーバースペックなことが多いが、その傾向は昔から変わらなかったようだ。

見づらいが、CAUTIONの警戒標識を発見。R418にはこのような旧制の標識はざらにある。

さらに進むと湯谷橋に到達。この橋もS29竣工。

湯谷橋を渡るとこの有名な青看が立っている。R418は×印により存在を否定されているが、現役国道なので消し去ることができないのがポイントだ。
右折して、×の先に進んで行こう。万一この先で進めなくなった場合には、ここまで戻ってきて左手に進むことになる。左手に向かう道はr353だったはずだが、バイパス建設により旧道落ちしたようだ。R418と異なり、ヘキサごと消し去られている。

地図のリンクは https://ridewithgps.com/routes/41384915

現時刻は12:40。ここまでの総走行距離は26 km。遂に道路界の聖地の入口に立った。
inserted by FC2 system