37. 徳山村 前編
2014年7月
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ついに徳山村の地を踏むときがやってきた。村は既にはるかな水底にあり、はっきりいって自分は間に合わなかったのだが、それでもここを訪れるチャンスが自分にやってきたことに感謝したい。


大垣駅を7:00に出発。R303八草峠R157温見峠ときて、今日はR417冠山峠を越える。今日こそは敦賀まで走りたいんだけど、どうだろうか。

少し走ってR21河間交差点に到達。現在、この交差点がR417の起点だ。
当地は晴れているんだけど、前方がかなり曇っている。今日は寒冷前線が日本海方面から南下しているので、北に向かって走っているとどこかでぶつかるだろう。一度ずぶぬれになってしまうのは覚悟している。

美濃赤坂駅の近くを通過し、R417を進む。このまま進めば揖斐川左岸のR303にぶつかるが、今日は右岸のr254を走ろう。本郷北の交差点を左折してR417と別れた。写真の左下にオレンジ色の三角柱が写っているが、うかつにも裏面を見忘れた。r254起点を示す標柱だったのだろうか。

黒田橋で揖斐川支流の粕川を渡る。現時刻は8:10。スタートから一時間以上走っているが、中々揖斐川に到達しない。

ようやく揖斐川に辿り着き、予定通り右岸を走り始めた。道路情報掲示板に通行止とあるが、見なかったことにして進む。完全に通行不能になってから引き返せばいい。

対岸にR303とR417の重複区間の旧道が見えている。あの特徴的な坑口は第34回に通過した北山隧道だ。

r254はこのような1.5車線程度の規格で続く。路面はよく整備されており、快適に走れる。

旧久瀬村のエリアを進むと、3枚上の写真で予告されていた通り通行止めとなった。ここは第34回においても通行止めだった地点だ。写真に写っているが、ちょうど警備の職員が現れたので残念ながら突入もできず。大人しく引き返した。

しかし、想定外なことに対岸の国道旧道も通行止めだった。おそらく少し前にあった大雨の影響だろう。仕方がないので第34回に走行した久瀬村中心部を抜ける旧道を逆走し、現道の久瀬トンネルへ。かなり時間をロスしてしまった。
写真は久瀬トンネルの中間点。勾配が変化していることがわかる。このトンネルは2133 mも延長があるので大変だが、今日はこのクラスのトンネルを何本も抜けることになる。写真から分かるように、センターラインに障害物があって追い抜きに問題があるので、自動車が迫ってくると素直に路肩に上がってやり過ごす。

一度走った道なのでつまらないのだが、久瀬ダムに沿って旧R303を進む。現代の道にはほとんど見ることがなくなった、びっくりマークが立っている。ガードレールが無くなることに対して注意を喚起しているのだろう。
これ以上通行止めがあると今後の予定を消化できるかどうか危うくなるためずっと左岸のR303を進んだのだが、対岸にちらちらと6枚上の写真に写っているおっさんが見えた。どうやら久瀬橋を渡って再びr254に挑んだようだ。少しうらやましい。

9:30に藤橋の道の駅に到達。第34回では混んでいて断念した蕎麦屋を覗いてみたが、当然準備中だった。第34回と同じベンチに座っておにぎりを食べ、9:40に再出発した。

右岸へ渡るチャンスはあったのだが、通行止めのリスクを考慮して左岸を進む。右岸の道は相変わらず険しい。

横山ダムに向かって必死で上り、ようやくR417とR303が分岐する交差点までやってきた。第34回ではここを左折して木之本へ向かった。今日は直進であり、ここからが本番だ。行き先には徳山とも池田とも書かれておらず、ただ徳山ダムと書かれているのみだ。

交差点を直進すると、すぐにR417のおにぎりと通行規制に関する標識がたっている。写真では見えないが、徳山村というキーワードが目に入る。これから20 kmにわたり、連続80 mm、時間30 mmで通行止めの規制が敷かれている。

旧藤橋村の中心部を進む。集落はほとんど全て横山ダムに水没している。今日の走行区間だけでも3つ目のダムだ。揖斐川の治水のためか、濃尾平野の用水のためか、揖斐川にはいくつものダムが建設されている。このようにダムがいくつも連なるのは梓川以来のように思う。

おそらく冠山峠道路の開通に備えてだろう、R417は単独区間となってから何ヶ所も工事が行われていた。
写真の藤橋城の手前でR417旧道へ。現道は左に見える斜面に沿って上ってゆく。

正直こういう天守閣を勝手に建造してしまうのは好きでは無いのだけれど、城にあった説明文に、藤橋の再興を願って建造した、とあるのを見て許せる気がした。徳山と同様、藤橋もダムに沈んだ村だ。

藤橋城を過ぎると旧道の状況は一変した。地図からは徳山ダムの堤体直下まで旧道が続いているように読み取れる。ダムの堤体を下から眺めることはできるだろうか。今日のメインイベントの一つであるR417藤橋旧道の始まりだ。
小さくて見えないが、右奥に、横山ダムから10 kmの標識が立っている。ここまでのR417の道のりにおいても目にしたもので、この道が元々R417であったことを示すものだ。

上の写真に見えているカーブを曲がると、いきなり道を埋め尽くすほどの斜面の崩落が待っていた。しかし道幅が狭い。R157の落ちたら死ぬ区間を思い出した。
右下は絶壁だ。自転車を持っていくべきか悩む。

しばし逡巡したのち、自転車付きで越えた。この時点では、戻ってくることになると思ったので写真はこの一枚だけだが、少し失敗だったかもしれない。
奥に藤橋城が見えている。ここから見えるということは向こうからも見えるということだ。

崩落を越えると、人の気配が一気に薄くなった。いつか決定的な場面に遭遇し、引き返すことになるのだろうと思いながら再び進み始めた。
気が付くと、普段は足を踏み入れないような泥沼、倒木、落石地帯を、引き返したくない一心で前進していた。これが廃道の魔力なんだろう。

横山ダムから11 kmの標識が立っている。写真の路面は落ち着いているが、精神的にきついので荒れている場面では写真を撮り忘れてしまう。

旧道が駐車場であることを示す看板が現れた。後で振り返ると、この地点で安全地帯に脱出できたのだが、当地ではそのような余裕はなかった。現道ははるか頭上を通っている。現道に戻るまではずっと緊張していたように思う。

堰堤が現れた。対岸にも道があるように見える。
地図によると、この辺りに現道と繋がっている道が一本あるはずだ。おそらくダム絡みの作業道だろう。どこなのか気になりつつ走っていると、左手にどう見ても廃道の舗装道が枝分かれした。はっきり言って走りたくない。この道が脱出道でないことを祈りつつ進んでゆくと、再び左手につづら折れの立派な舗装路が現れ、一安心した。

一連の流れを写真に撮り損ねた。しかし記憶には鮮明に残っている。

作業道分岐から先はダム関連の作業のため、大型車が頻繁に入ってくるのだろう、走りやすくなった。

R417のおにぎりが残っていた。ここがR417であることは状況証拠から明白なのだが、でもやはりおにぎりがあると格別だ。フォントが古ければ完璧だったんだけど、贅沢は言わないでおく。

さらに進むと、違和感のある何かが谷間にちらりと見えた。徳山ダムの堤体だ。

ここが限界地点。今日は休日なので作業が行われているとは思わないが、立入禁止と表示されているので、ここから先に進むことはできないし、その気にもならない。
わずかにだが堤体を見ることができたのは良かった。満足して引き返した。

あっという間に作業道との分岐まで戻り、きついつづら折れを上ってゆく。

11:10、現道に復帰した。八草峠に匹敵する厳しい旧道だった。しばし路面に座り込んで休憩したのち、立派な二車線路の現道を上り始めた。

地図のリンクは https://ridewithgps.com/routes/41382663

ここまで58 kmの道のりを4 hで走ってきた。悪くないペースだが、通行止めで引き返すなどロスが多い。中編ではようやく旧徳山村エリアに入る。
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