23. 大崩海岸 前編
2013年1月
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道路好きなら一度は行ってみたい大崩海岸。パソコンのディスプレイで何度も見た衝撃的なあの景色をこの目で見に行こう。伊豆以外の静岡初挑戦である。


今日のスタートは静岡駅。ゴールは第4回スタートの三島になるはずなのだが、まずは西に向かって走ろう。9:15に走り出した。

県庁前を走り、中町の交差点を左折しておそらく旧東海道のr208へ。今日はR1の旧道を走る目的もある。
写真はT12竣工の安倍川橋。大正時代にしては高規格で、さすがはR1だ。

9:35頃に東海道の丸子宿を通過。背後に山が迫ってきた。

丸子宿を抜けるとR1現道に合流。宇津ノ谷峠への上りが始まった。道の駅宇津ノ谷峠を通過すると旧道は現道をまたいで上ってゆく。

現道の跨道橋から平成隧道といわゆる昭和隧道が見えた。現在の宇津ノ谷峠は2+2車線でバイパスのような道だ。

旧道を進むと宇津ノ谷集落を通過する街道が分岐したので、こちらを進んだ。

集落の終わりに階段があったが、担いで進んだ。さらにかなりの勾配で上ってゆく。
宇津ノ谷集落を上から眺める。

明治道に入ってさらに上ると広場にでて、その左奥に隧道があった。宇津谷隧道だ。M9に開通、M37に改修され現在の姿となった古隧道である。こちら側の坑口はM37に新造されたもののはずで、確かに岡部側と比べると新しく思える。向こうも坑口はM37に作り直しているはずだけど、それ以外がね。
広場の右側にM9開通の初代坑口が埋もれているはずで、少し探したのだが、、、私が見たものはそれとは多分違うのだろう。

宇津谷隧道に突入する。完全なる煉瓦巻き。竣工から百年以上経過しているが、全くといっていいほど綻びはない。

岡部側の坑口。左手の岩盤が荒々しい。厳しい線形であり、R1とはとても思えない。しかし、たった百年前はこの規格で十分だったのだ。

再び明治隧道を潜ってr208へ。少し上るといわゆる大正隧道が見えてくる。

S5竣工の二代目隧道。この時代としては非常に高規格な隧道だ。

宇津ノ谷峠に満足し、r208を一気に下る。岡部宿を10:25に通過。南北に走るr213を通って焼津に向かう。

焼津の市街地をぬけ、旧R150のr416へ。大崩海岸への上りが始まった。

大崩海岸の入口である當目隧道に到着。S9竣工の古隧道だ。現時刻は11:05である。

そう長くはない當目隧道を抜けると、景色は文字通り一変した。これが大崩海岸だ。

少し進んで振り返る。白いホテルの下に先程の當目隧道がある。

崖沿いの道を延々と進み、市境をまたいで再び静岡市へ。楽しい時間はあっという間に過ぎ、石部隧道に続くロックシェードまで辿り着いてしまった。
もしかして例のあれが見えるのではないかと思い、自転車を止め、ガードレールを乗り越え、絶壁の路肩を守るコンクリートの上に立つと、見えた。あり得ない煉瓦の塊が。

望遠で写真を撮る。整然と並んだ煉瓦が美しい。S23以来、60年以上にわたり崩壊を続ける旧東海道本線の石部隧道だ。現代の日本にあってはならない光景が、眼下に現実として広がっている。
この煉瓦の塊に辿り着けるルートが二つある。自分にはどちらも面倒なので今日はここで満足だ。一歩進めば確実に死ねる特等席から、非日常の絶景を飽きるまで眺めた。

前方に見えるのは有名な石部海上橋だ。親不知を思い出す。その左に見えるのは石部隧道に続くロックシェード。

現時刻は11:30。名残惜しいがそろそろ出発しよう。

石部隧道を潜った先にある駐車スペースから、東海道本線の旧線を望む。煉瓦の塊を先頭に、自然によって破壊された人工物が連なる。

そこから見えるのが、R150旧旧道である石部洞門だ。一番手前の洞門の扁額には、S18竣工とある。その奥に見える崩壊が、この旧旧道を死に追いやった張本人だ。
先程の石部隧道は60年以上放置だったが、こちらの石部洞門は40年以上放置である。

石部海上橋を渡り、振り返る。

ようやく海岸線は穏やかな顔を取り戻した。前方に石部集落が見える。ここからは現実に戻り、地道に進んでゆこう。

地図のリンクは https://ridewithgps.com/routes/41311036

R1宇津ノ谷峠、旧R150大崩海岸、そして現R150及び東名高速の走る日本坂は同じ山脈に属する難所であり、第20回の碓氷峠と並ぶ日本の交通の急所の一つである。
現時刻は11:40。約2h半で28 kmしか進んでいない。後編では距離を稼いでゆこう。
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