日本を代表する究極の峠道といえる矢ノ川峠。ずっとパソコンのモニタ越しに眺めていたが、自らの脚で上る日が来るとは夢にも思わなかった。前座にしては濃すぎる煉瓦隧道群とともに、在りし日の熊野街道を辿る。
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今回は10:15に前回のゴールの紀伊長島駅を出発。最も早い電車で輪行してもこの時間、というのがこのエリアの難しいところだ。 |
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R42の現道には向かわず、旧道っぽい道を選んで西に向かう。今日は快晴だ。前回に長島に辿り着いたときは真っ暗だったので、明るい時間に走れることは嬉しい。 |
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江ノ浦橋。H5に架け替えられた昇開橋だ。この橋は旧R42ではないはず。 |
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江ノ浦橋の先でかなり迷ったが、何とかr581を見つけることができた。 |
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r581を進むと上りとなり、海野トンネルに到達する。その脇には旧隧道がある。海野浦隧道。竣工年不明。扁額が右書きなのが気になるが、S30頃の竣工と予想する。 |
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海野トンネルを潜って海野側へ。写真は海野浦隧道の海野側坑口。 |
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海野の集落を抜けると上りになる。今日も細かいアップダウンが多そうだ。 |
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小さなピークを越え、一石峠への分岐を過ぎると右手に今日最初のターゲットが現れた。 |
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長島隧道。M44竣工の煉瓦隧道だ。現役の車道として使われているだけあって小奇麗だ。全長は300 m以上あり、明治隧道としてはかなり長い部類だ。 |
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長島側坑口。この隧道はもちろん旧R42熊野街道であり、S40まで現国道だったはず。現国道のトンネルの名称は江の浦トンネル。長島トンネルという名は一つ東のトンネルに移っている。 |
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古里集落に向けてR42を一気に下る。 |
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集落を抜けるとすぐに次の煉瓦隧道が待ち構える。右手は現R42の古里トンネル。 |
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海野隧道。T3竣工。煉瓦隧道であることを忘れない程度に改修され、古里トンネルの歩道トンネルとして生きている。 ここもトンネルの名前がややこしい。現海野トンネルは先程潜ってきたところだ。
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道瀬側坑口。掘割がいい味を出している。 ここで朝食休憩をとった。
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再び下って道瀬集落へ。良い雰囲気の集落だ。現時刻は11:05。 |
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道瀬集落を抜けるとまた煉瓦隧道が現れる。鉄道でなく、道路にこれだけ煉瓦隧道が連なっているのは凄いし、ここ以外にはないかもしれない。道瀬隧道、T4竣工。この隧道も歩道トンネルとして生きている。 |
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道瀬隧道の内部は、長島・海野隧道と比べて改修されていない。写真の待避所のような窪みは現地では何だろうと思ったが、ガス灯の燃料のガスタンク置き場として造られたようだ。 |
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道瀬隧道の三浦側坑口。ここは現トンネルも同じ名前だ。 |
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三浦の集落を抜けてR42を進む。 |
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再び嶺が立ちはだかった。現道は三船トンネルで抜ける。 ここにはこれまでとは異なるパターンで旧隧道が存在する。三船トンネル坑口の右手へ。
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三浦隧道。T6竣工。ここから先にも煉瓦隧道はあるが、この隧道の竣工年が最も遅い。 坑口の煉瓦積みは美しく保たれているが、ここまでの隧道と異なりこの隧道は生活道路や歩道として転用されていない。坑口前にも木が植えられており、廃道化の作業が進んでいる。
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坑口から三浦隧道内部を望む。出口は見えるものの内部の様子がおかしい。坑口付近は水溜りになっているんだけれど、左側の内壁に沿って先人の置き石があり、靴をあまり濡らさずに進めそうだ。少し迷ったが折角なので隧道内部に侵入することにする。 |
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隧道内部を進む。三浦隧道はすぐに煉瓦巻きがなくなり、素掘りになる。ここまでの三隧道は現代に見合う水準に改修されていたが、これが本当の姿だ。 至るところで内壁が崩落しているが、ほとんど視界がない中、転ばないように進む。左手に、あまり役に立たなそうなつっかい棒がしてある箇所があったが、写真を取り忘れた。
それにしても足元が見えない。フラッシュを焚いて撮影すると、写真のように崩落が多く存在していた。出口まで辿り着いたとしてもそのまま先に進める保証はない。この地点で引き返すことにした。 光量の多いライトが必要だなと、これまでの遠征で初めて感じた。
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三浦側の坑口に戻ってきた。この隧道がS40までR42の現道であった。 |
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現R42の三船トンネルを抜けて進む。三浦隧道の西側坑口はこれまでの煉瓦隧道と異なり、現道と離れている。少し走ると、旧道っぽい道が右手に分岐していた。もちろんそちらへ進む。 |
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途中左手に古道の始神峠への分岐があったので不安になったが、この道で正しいようだ。写真では見づらいが、左手に長島町の白看が立っている。 |
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白看を過ぎて進むと、坑口が見えた。三浦隧道の三船側坑口だ。 |
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隧道の内部がどのような感じかはわかっている。こちら側からは隧道内部に侵入することなく引き返した。 左手に見えているのは紀勢自動車道の高架橋。この辺りはこの自動車道の建設でかなり地形が変わってしまっているんだろうけれど、三浦隧道が歩道として使われなかったこととその建設が関係しているかどうかはよくわからない。
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現R42に戻って進むと、右手に古い橋梁が見えた。煉瓦隧道ほどは古くないが、この橋もなかなか良い雰囲気を醸し出している。往古橋、S9竣工。 |